①きゅうり農家小池さん『俺が人工知能だ!!!』
機械学習界隈で「きゅうり」といえば知らない人はいない小池さんのきゅうりマシン奮闘記の振り返りとこれから的なお話。 実は筆者が人生で初めてバズった記事がきゅうりマシンを紹介した記事だったりするので個人的にファンでずっと応援してます。
何はともあれ、誰もが注目してしまうのはここでしょう。
1.4倍の作業スピードの向上が図れたが、半年後にはわたしの判断能力が向上したため現在は使っていない。
学習用の正解データ作りすぎて「俺が人工知能だ!」状態。
め っ ち ゃ わ か る … !!! 完全に機械学習アルアルです。
「当初は完全自動化を目指したが、最終的には”人間のサポート”役と位置付けた』という話も納得しか無い。 人間が行うリアル世界の活動を完全に機械学習で完全に代替えする難しさを実地で実践されてて尊い。
この記事も、「いろいろやったけど最終的に無理でしたわー」という話ではなく、人間のサポート役とした三号機はきゅうり仕分け作業の初心者や未経験者には効果的なのではと説明しつつ、
8月には4号機を完成させたい。最終的には、自動収穫ロボットを開発できればと考えている。農業の効率化にテクノロジーを活用し、品質向上や収量の増加、栽培ノウハウの継承に取り組んでいければ理想的だ
相変わらずカッコイイです小池さん。
②デジタルアートと機械学習系APIはきっと相性が良い
cloudplatform-jp.googleblog.com
紅白歌合戦などでもPerfumeライブの特殊演出はすっかり有名になりましたが、それを手がけているのがライゾマティクスというメディアアート集団です。個人的には超大好き。
そのライブの特殊演出に、ライゾマはGoogleの機械学習APIを使っているというお話。具体的には
- 一般から募集しアップロードされた約23,000枚の写真をリアルタイムに画像解析し、PerfumeのMVの類似したフレームを検索するインタラクティブコンテンツとして公開。ライブ当日もステージ上の演出素材として活用
- perfumeのすべてのMVからフレーム画像を作成し、tensorflowで画像分類。t-SNEで二次元に潰してコラージュ画像を作成
というもの。
GoogleやMSが提供する機械学習系のAPIは、ビジネスに使うには少し痒いところに手が届かない・利用料金が高い・精度が微妙に足りないという部分もあるものの、デジタルアートの一部として活用されるのは非常に親和性が高そう。特に、2つ目の作品は個人でも作れそうなので、こういった趣味活動をして名を挙げるメディアアーティスト的な人は増えそうですね。
③可視化業界のタブー?「顔の美しさ」を数値化
Microsoftの年次イベント「de:code 2018」で東大の研究室が発表した「女性の顔の綺麗さを機械的に数値化する」技術の話。
正確には、「人工知能が女性の顔の“魅力度”を判定し、最も魅力が高まるような化粧を推薦してくれる」と謳われているが、本質的には「人間(特に女性)の顔の美醜の数値化」であると思う。(そのまま言ったら絶対に炎上するので良い感じに見せ方を変えたのだと…)
機械学習を勉強して、なにかオリジナルのアプリ的なものを作ろうとした人は必ずは一度は考えたであろうネタを、東大研究室がガチでやってて草。でも誰もが取り組みたくなる魅力はありますよねー。わかる。
手法としては、女性の顔の美醜を人間が点数化(1~5点)し、それを教師データとして顔画像を学習させたらしい。結果、実際に人間の評価と比べても非常に強い相関が見られた(相関係数0.85程度)とのことでなんだかんだすごい。デモで出されている結果写真をみてもわからんこともない。
不謹慎と言われるかもですが、こういった機能をマッチングサイトとかは真面目に実装すればいいのになと思ったりもします。”顔の好み”を数値化してレコメンドに活かすとかすれば、批判もあるでしょうが間違いなくユーザーは爆増するかと。
個人的には、
「女性の顔については、古今東西、大体同じ評価尺度が存在することが、心理学の分野で判明している。一方、男性の顔の魅力については、複数の評価尺度があるといわれている。 という話も面白い。”男の魅力”に関してはもっと動物的な感じで、権力的なものが男性の魅力としてカウントされる側面も多分にありますしね…
ちなみに、「顔の数値化」は過去にもいろんな人がトライしていて、クリエイティブラボpartyも2016年にDeeplooksというウェブアプリを出してます。
(追記)すでにディスりがまとめられていました。なんというか、こういうのは「できるからやった」感が強いと思っています。人間の顔の定量的な分析は昔から多くの人の興味分野で、「平均顔」とか「信頼を得やすい顔」とかと同じ話の延長にあるだけかと。
④ハチに学ぶ効率的な脳の仕組み
面白い! ハチがゼロという概念を持ってるっぽいぞというための実験方法が意外にシンプルなのも面白いです。 で、生物学的な発見として、ハチにも数字の概念あるのかもね、すごいねってだけではなく、話のオチとして
人間の脳には800億個の神経細胞があるのに対して、ミツバチにある神経細胞は100万個未満だとのこと。少ないニューロンにもかかわらず高度な知能を備えたミツバチの脳を研究することで、より少ないニューロンで高度な計算を行えるメカニズムを解明できれば、ニューラルネットワーク技術を活用するAI技術にも転用できるのではないかと期待されています。
と、人工知能的な話に向かってるのに時代を感じますねー。
ちょっと話が脱線しますが、毎週楽しみに聞いてる今週のバイリンガルニュースで、もしも地球外知的生命体に遭遇したら実際はどうやって意思疎通をとるかというワークショップが学会で開かれたという話が紹介されてました。
実際は言語交渉よりもまずは数学の概念を使った意思疎通を試みるとのことです。確かに数学的概念の方が人間言語よりは共通理解を得られそうな気がしてなるほどーという感じなんですが、ハチよろしく、数学的な概念を持ってる生物は実はもっといたりすると面白いですね。アリとかもわかってそう。猫は何もわかってなさそう。
⑤Appleも出した”GUIで機械学習”。使いどころが未だにわからない…
WWDC18でAppleもGUIで操作する機械学習モデル”Create ML”を発表。macOS 10.14 Mojaveから使えるそうです。 実質3行ほどのコードを書くだけで画像分類的なタスクがGUIで完了する、らしい。
Googleもプログラミング不要のAutoMLを出していて、両モデルとも、”ドラッグアンドドロップのインターフェイスで実行できる!”というのが大切らしいが、未だに「これで流行るのだろうか…どういいった人がどんなときに使うのだろうか…」という疑問を抱え続けている…
⑥子どもたちが鉛筆を振る未来が見える…見えるぞ…!
子供向けIoTネタ。 鉛筆に加速度計をつけ、勉強した時間を計測してポイントを貯め、アプリ内の謎の生き物(?)を育てるゲーミフィケーションアプリ。 シンプルなのにたしかに楽しそうで、「やられた!!!」と思ってる人も少なくなさそう。
謎の生き物をもっとデジモンとかムシキング的なキャラクターにできると新たなウンコ漢字ドリル的キラーコンテンツにならないかしら。 まぁ流行ったら流行ったで、鉛筆を振るだけの本末転倒作業が始まってしまうのですけど…
個人的には、「え、現代の小学生もまだ鉛筆使ってるんだ」ってちょっと思いました…平成ももう終わるよ…?
⑦なぜ企業は”研究”をすべきか
Preferred Networks における研究活動 | Preferred Research
“日本のDeepMind”こと(敬意を込めて心の中で勝手に呼んでる)、PFNさんの『PFNはなぜ研究をするのか?』についての記事。
日本の機械学習業界でトップを走る企業の”研究活動”に対する姿勢や意義のアイデアが語られていて興味深いです。基本的にはPFNさんのカッコイイ話が書かれている強いリクルーティング記事っぽいですが、”AI研究部署”を持つ企業は一読の価値ありだと思います。すでにトップレベルの技術力を持つPFNさんが、「いや、まだまだやねん、今後ももっと重点的に強化していく予定やで」って言われると他の企業は真顔にならざるをえない。
PFNのような企業で、今すぐ直接お金に結びつかないような研究をする意味はあるのでしょうか?例えば、論文を書こうと思えば貴重な業務の時間をごっそりと使ってしまうことになるし、それを出版すれば社外の人たちに技術を教えてしまうことになります。こう考えると、学術的研究や論文執筆は、会社にとってマイナスの活動のようにすら見えます。
AI活用を目指す多くの企業がこれに対して明確な答えを持っていないと、名ばかりのAI研究部署で優秀な技術者を飼い殺す可能性があって怖いなと感じるこの頃です。
この記事ではこの問に対して、PFN流の「現状には過剰と思える技術を開発する必要性」「外部発表をする意義」「他者とのコラボレーションの価値」などについて説明されています。
個人的にはここがめっちゃかっこよくて好き。
アラン・ケイの「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という言葉は、実際にいくつかの分野で世界をリードしたりトップに迫ったりといった成果を出すことができている我々にとって、大きな実感があります。
⑧DeepMindが一連の機械学習アルゴリズムに国際特許出願
DeepMindが発表していた一連の機械学習アルゴリズムに国際特許出願していたことがわかったという結構びっくりな話。AIをビジネスにしているところは広く関係する話。
特許申請は2016年9月から2016年12月の期間に週にほぼ1回の頻度で出されていたらしく、さらに2016年12月以降に提出された申請はまだ一般公開されていないので、まだまだ他にも出願済みのものがあるかもとのこと。
AIに関する特許取得は世界的なトレンドのようで、もちろんgoogle本社もAI系分野を含めた技術特許を取りまくっている会社。しかしDeepMindの経営理念は「研究コミュニティと人類全体の利益のためのAI研究の発展」としているので、それと特許取得がどう関係しているのかとツッコミが入っている。
DeepMindがある日突然パテントトロールみたいになることは多分無い(そうなったら世界的にAI業界が停滞しそう)と思われますが、悪意を持って利用する人はいくらでもいるので、守るもんは守っとくかという感じであることを期待。
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