「AI」と「責任」でビジネスは回る

界隈の人と話してて面白かった話をメモ

toBビジネスを「責任」という観点でみてみる

  • ビジネスは「責任を取る」ことに対してお金を払っている側面も強いよねという話
    • 身近な例だと、マネージャーは責任を取る/責任を持つ範囲が広いので給料が高い
    • 企業は、自社でそれをやらない代わりに受注企業が執行と”責任”を持ってくれるので発注をしている
      • 執行するのを肩代わりするけど責任は取らない場合、本来なら高い単価をとれないはず
        • 業務の一部を便利にするプロダクトとかはそれ。
          • 優れたUIなどで便利に使えるが、最終的に人間の承認が必要になるようなサービスは、別の観点ではプロダクト側では責任がとれていないとも言える
          • なので、それほど高い単価では獲得できない = 低単価でhorizontalに展開する系のプロダクトビジネスモデルになる
          • もしくは、多少ミスっても全然ok的な領域のプロダクトも同じく高い単価はとれない
          • (一方、toCでは責任より快適さや体験価値が重視される傾向がある)

ビジネスは、「責任の綱引き」をしているとも言える

  • toBビジネスでは、責任の所在をどう設計・分担するかが本質的な交渉材料になっているとも言える。そして責任の大きさが金額の大きさになる場面が多い。単価が高い = 責任が大きい
  • 余談)責任ではなく希少性にお金を払っている場合もあるが、希少性は常に流動的。
    • 例えば、僕の前職のデータサイエンス受託の仕事は、請負契約ではなく準委任契約であり、成果物の完成ではなく業務の遂行自体に高い料金が発生していた。必ずしも成果物を約束しないという意味ではある意味で責任を取っていないとも言えたが、それはデータサイエンスのスキルに高い希少価値があったから
      • 今後はAIでその価値が目減りする可能性が低くない。価値が減り強い責任もないビジネスモデルは今後厳しいのかもしれない。
    • Devinのような画期的なAIサービスも登場時は他にないサービスなので希少性によって高い単価を得るが、いずれコモディティー化していく。

JTC はめちゃくちゃ「責任」を取れる

  • 例えば原発の製造と運営
    • 仮に製造する技術だけあっても、その後の保守運用までできないなら入札から落ちる
    • 結果、そこまで責任がとれる体力がある企業は重厚長大なJTCだけ、とかになる。最後まで立っていた者が勝者(Last man standing)的な状態になっている。
  • 体力がある企業は取れる責任が大きい
    • 体力 = 資本がある, 社員が沢山いる(ブランド・信頼・歴史があるとかも)
    • どれだけ優秀な人が集まった大成長中のスタートアップでも意外に責任を取りきれない場合も多い。JTCは体力の桁が違う(体力で逃げ切っているという見方もあるかもしれないが)。

AIはどこまでいっても責任が持てない

  • 現時点では、法的・倫理的な枠組みにおいて、AIに責任を持たせる方法が確立されていないし、今後も難しいじゃないかなと思う

  • AI系サービスにおいて、結果に責任が持てないなら単価が取りづらいスケール重視型のビジネスにならざるを得ない。そしてAI技術自体の希少性は無くなっていくので難しい。
  • 「AIが仕事を行うが、最終的な責任は当社が持ちます」的なビジネスモデルの会社がでてくる
    • AIの仕事を監督できる能力をもつ人材が価値になる(AIがなかった時代に頑張ってきた人たちにも光がある。AIを積極的に受け入れるなら。)
    • そして、AIがミスる責任を織り込める資本と人材のある企業だけがAIサービスを展開できる
      • 従来のITやアプリ開発のように「まず作って試す」スタイルと比べると、AIプロダクトは初期から責任の所在を意識せざるを得ない点で、意外にハードルが高いかもしれない